やまさんの読書ブログ

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ども。

 

「コロナ禍によって世界が変化したのではなく、世界の様々な問題が可視化されただけだ」

みたいなことをミシェル・ウェルベックが言っていました。

 

セロトニン

セロトニン

 

 (この鮮やかな表紙に見覚えがあると思う。未だに外国文学の棚で平積みになってるところさえある。中国SFが流行りのいま、さすがにSF棚で平積みはされてないだろうけど)

(最近の文芸書、彩度も光度も高い表紙ばっかですよね 急な傾向だよな)

 

自分とのかかわりでいうと、思ったよりみんな日常にこだわるんだなぁという発見がありました。

9月入学を勧めたい意見なんかもそうですよね。

システム的な問題というより、何気ない日常をこれまで通りすごすために9月入学を求めてるような。

 

日常にこだわる教授の話。

大学の先生たちも、今まで通りだったら学生が到達できたであろう地点に持っていくために課題を出します。その結果が今の課題地獄なんですけど。

文部科学省の通達によると、一つの講義にかかる総時間は14回授業×4・5時間で63時間。×約70講義。

もしくは、就活のために4回生をフリーにしようとする場合、3回生までは、1週間の拘束時間は4.5*10講義で45時間。通学時間は含めませんし、学費を稼ぐための時間も含めません。そんな時間大学生にあるかいな。計るのがそもそもおかしいと言われればそれは正しい。

実際のところ、大学は人権を得るために行くところなので、楽な単位を数多く回収して、卒論という名の可燃ごみを製作して、最後に大卒の称号さえ得られれば、時間をかけない方がコスパがいいわけです。KOKO格差社会

教授たちもそのあたりはわかっておられたので、心ある人でも講義は社会人養成講座や人格の涵養っぽい感じで押さえて、本気で学問するなら大学院からみたいな雰囲気だったんですけど。理系は多分違うよね。

 

とまぁ計算で出る勉強時間は実際不可能に近いんですけど、緊急事態に即して教授たちが本気出しちゃって、「いつも通り」机上の空論時間通りに勉強させようとした結果学生も苦労するし教授も苦労する、というような事態に。

バイトできないからその分時間あると言われればそれはそう。でも、メンタルは保てないですし。無駄になるかもしれないものに努力できる人は少ない。

教授でも今まで通りにこだわるんだなぁとおもいました(こなみかん)。

 

 

もちろん全員がそうではないし、とりあえず乗り切ることを主眼に置いている教授だったり、とりあえず単位を回収することを目標にさせる先生だったり。

弱さに対して優しい先生が幾人かいてくださって助かります。

神学部は人間の弱さに対して相当理解のある学部ですけど、他学部もそうだといいなぁ。この段落は弱さの話。

「どんなやつでも留年したやつの言葉に価値なんかない」なんてツイートを見かけたもので。文言とは裏腹に、サークルにかまけて留年したやつ、みたいな文脈で。

留年することにめちゃくちゃ忌避感と差別意識あるんだなあ。思ってるほど一大事じゃないのに。他人の弱さに厳しい。傷つけやすさが高い正論。

ちゃんと成功体験積み重ねてる人にはこんなことわかりませんし。というか、「弱さに打ち勝つ」ことが成功の要件なので、自然に自分と違うルートを歩んだ人を弱い格下扱いしてしまう。自覚はない。

これは思った以上にやりがちな事例で、例えば「なんで筋トレしないの?痩せるし鬱も無くなるし肩もこらなくなっていいことづくめだよ!」がそうです。圧倒的ギルティ。できたらしとるわ。身体も言葉もマッチョイズム。俺にできたからお前にもできるはず。みたいな素朴な差別観。

 

ダイエット幻想 (ちくまプリマー新書)

ダイエット幻想 (ちくまプリマー新書)

  • 作者:磯野 真穂
  • 発売日: 2019/10/08
  • メディア: 新書
 

 積読だけど紹介しようという気持ち。

こんな感じで自分と価値観を断ち切っていけないと、生きていけなさそう。圧倒的レジリエンス。そしてレジリエンスすらも習得すべき社会人スキルになる。そういう価値観を断ち切っていけ。

 

この人の本だとこの往復書簡が面白かったです。

 

急に具合が悪くなる

急に具合が悪くなる

 

 人文書界隈でめっちゃ流行りでしたよね。

この手紙が一年前のGW頃から始まっていたらしく。

Twitterで補遺に当たる部分を公開されています。

 

「現状を維持したい」という思いは、こういう不測の事態の先送りを求める気持ちで、それは自分の不確定性・偶然性という意味での弱さや脆弱性を拒絶することから始まる。

みたいな感じでまとめたらいい感じにまとまりませんか。この記事。