色眼鏡を外して
ども。
事の発端は一週間前。
小さい頃に暗闇で、寝転んで本を読む癖があったために、右目の視力がマイナス3桁台なわけです。
メガネがないと生きられない身体。
なのにメガネを失くす。
ベッドサイドに置いていたものが忽然と消えている。
しばらく探しても一向に見つからない。
講義があるので仕方なく大学へ向かいました。裸眼のまま。不安にすぎる。
コンタクトなりレーシックなり、も選択肢としてはあるんですけどね。
自分の身体に何か、他の物を入れるのが怖くて仕方ない。
カラーレンズをファッション感覚で入れ替える人が本当に異星人に見えます。怖くないのかね。
なんとか大学へ向かいました。
普段慣れた道が全然見えないんですよね。
例えば、信号。
辛うじて、色は知覚できます。冗談抜きで赤のイデア。
横断歩道が見えない。白と黒の差は辛うじてつく。そんなレベルです。
そんな感じで1日を過ごしました。
そんな中で気づいた事。
今日行った古本市でフランス印象派の画集買ったんですけど、例によってAmazonになかったので似たものを。
大学の講義で芸術史を一通り受けてから、印象派らへんが好きになりました。
講義で多用されるびじゅチューンが印象的。
それはともかく。
私は普段からパソコンやiPadを多用するので、メガネにブルーライトカットの加工をしています。
そんな中で、メガネを外して、みた空がとても綺麗だったんです。颯爽としていて。滔滔たる青。
これは紅。タイトルのセンスがものすごく好きです。
齢9歳にして売られた時から、年を経て買われるまでの吉原遊女の心持ち、ここまで鮮やかに想像できるかよ、というような。
そんな内容の本です。正直面白かった。新人賞に文豪が殴り込みに来たような。
10年かけてて全く気づかなかったんですが、どうも、レンズ自体が黄色に着色されていたようで。
全ての青みがカットされるんですね。視界が透明で驚きました。
文字通りの色眼鏡。別に偏見云々の話ではなく。
今でもたまに綺麗な空を、メガネを外して見るようになりました。
浮かぶ子雲の仔細はどうやっても見えませんけど、空の青は良いものですね。
上の画集の表紙、モネの「日傘をさす女」のような空をいつか見て見たいと思っていたら、意外なところに答えがありましたとさ。メガネを外そう。
中3当時は気軽に読み進めましたけど、今読むと何度も立ち止まりますね。
思えば5年、たった5年でも、多感な大学生には色々思うところが多いようです。
『滔々と紅』もそうですけど、いつのまに文庫化したんでしょうね。昔読んだ本を再読したい。
狂ったように速読してたので。今読むと、どんな感想になるのやら。
後日談。
ベッドの最奥部からメガネが見つかりましたとさ。
どうやって落ちたかとんと見当がつかぬ。ありがたいありがたい。